インターネットの発達によりグローバル化が進み、より複雑性の増したVUCAと呼ばれる時代が訪れました。
VUCAとは、Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguityの頭文字を取った造語で、社会やビジネスにとって、未来の予測が難しくなる状況のことを意味します。
この、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)は、時代の特性を表しています。
企業には、これまで以上のスピードで変化していく必要性で、直観力や思考力なくして経営は成り立たない時代の到来と言えるでしょう。
先行きが見通せない時代だからこそ、企業は明確な「未来へのビジョン」を打ち出す必要があります。
理念・ミッションに基づいた「未来へのビジョン」は、外部環境に安易に左右されない確固たる経営の指針となります。
VUCA時代!未来の予測が難しくなる
今までは、会社が社員に雇用と成長の機会を与えていく「会社主導」のキャリア形成が中心でした。
しかし、崩壊した終身雇用など、会社を支える基盤そのものが不安となり、ビジネスパーソンにとって会社にキャリアをゆだねることのリスクが高まり、すっかりルールが変わってきました。
このように「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」を、一言でいうと「VUCA」と言います。
1990年代後半に軍事用語として発生した言葉です。
2010年代に入ると、社会の変化が激しいため、先行き不透明な社会情勢を指して、ビジネス界においても急速に使われるようになったのです。
VUCAは、こちらの4つの単語の頭文字をとった造語です。
- V(Volatility:変動性)
- U(Uncertainty:不確実性)
- C(Complexity:複雑性)
- A(Ambiguity:曖昧性)
変動性
社会の価値観や仕組みの変動が激しい状態
「これからどのような変化が起こっていくのか」が予測不可能な、不安定という変動が激しい状態
スマホやSNSなど新サービスが次々と生まれる社会では、営業方法やマーケティングの変化にも柔軟に対応し、新しいものを常に活かして戦略を立てることが求められます。
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不確実性
予測を立てることが難しく、不確実な事柄が多い状況
不確実な事柄が多く、「この先、私たちを取り巻く環境がどう変化していくのか」がわからない状態
生活をしていく上で、気象変動による環境の変化や新たな感染症の蔓延を見通すことは困難で、企業における不確実性は、副業が解禁になったり・少子高齢化に伴って雇用制度が変化しているため、仕事のあり方そのものが転換期を迎えています。
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複雑性
さまざまな要素が複雑に絡み合い、社会状況を把握しにくい状態
さまざまな要素・要因が複雑に絡み合っていて、単純な解決策を導き出すのが難しい状態
テクノロジーの進歩により多種多様なサービスやシステムが誕生している一方、ビジネスの仕組みは複雑さを増しているため、単純な方法で解決することは困難になっています。
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曖昧性
因果関係が不明で、はっきりとした正解が存在しない状況が生まれる
前例のない問題を抱え、絶対的な解決方法が見つからない曖昧な状態
変動の激しい現代では、過去の実績や経験が通用しなくなり、前例のない問題に直面したときに、新たな道を切り開いていく力が絶対必要です。
専門知識の提供は差別化にならない
(手に職をつけるもあてにならない)
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ビジネスにならない
VUCA時代に求められる思考力・吸収力・対応力・判断力
「教育・仕事・引退」の3ステージの人生モデルから、人生を切り開いていく「マルチステージの人生」へと変化し、今ある職業の半分は10年後にはもうないと言われ、企画の立ち上げや人との関わりを必要とする仕事や、変化に対応できる柔軟な進路設計が必要とされています。
- 柔軟で自律的な思考力の必要性
テクノロジーは日々進歩し、医師や弁護士のような職業ですらAIに置き換えられることも考えられています。
AIとの共存生活に対応できるよう、疑問に対して自ら考える力を育てる教育が大切です。
VUCA時代には物事の本質を見極める力や、自ら課題を設定し解決できる力を持つ人材が求められるでしょう。 - 新しい知識の吸収力
企業が存続するうえでは、破壊的イノベーション(これまでのルールをくつがえすような技術革新)が危機を救うチャンス であり、新しい知識を幅広く吸収する力が必要です - あらゆる状況への対応力
状況へ臨機応変に対応できる力が必要です。職業や人生設計も不確実で予測できない社会では、「どこでも通用する」人間的能力が欠かせません。 - 知識量から思考力・判断力・表現力への転換
暗記のみで答える問題は少なくなり、知識を実践的に活用して解答できる力が求められます。
VUCA時代に求められる人材とは?AIに負けないスペシャリストとは
コンサル業では、「自分のアジェンダで戦えるようになって、初めて一人前」と言われています。
それが実践できないコンサル業の人が多く、正しい努力と無駄な努力の判断がつかず、小さな作業に明け暮れていて時間ばかりを費やしています。
AIに負けないスペシャリストとは
- 問題解決能力 … 専門性を武器に問題解決が図れる
- 個人の力 … 自分で考え、自分で決める
- 自分で考えたアジェンダを持つ …「正しい努力」と「無駄な努力」を見極めるアジェンダ(実行に移されるべき事柄 )
VUCA時代が求める自立型人材
「自分で考えたアジェンダ」について考え抜いたことしか、本人の成長にならないと言われています。
無駄な努力とは …自分の意思がなく、他人から言われるままにする努力や、自分の目標や軸ではない、心の中で納得していない上、終わりのない作業を続けて疲労だけが蓄積されていしまうことです。
正しい努力とは …自らの顧客との論議などの結果、自らの頭で顧客と自らの利益を考えぬいて作り上げる努力のことで、自分の頭で考えられているかどうかが大きな分岐点で、コンサルやアドバイスはひとつの意見でしかないことを心得ていることが大切です。
「マーケティング戦略」とか、もうすでに昔の話となり、今の時代と今の消費者たちとにダイレクトにリンクし、瞬間にブランドを想起・最適な解を導き出すことが必須で、新しいものを常に活かして戦略を立てることが求められます。
*問題解決能力 … 専門性を武器に問題解決が図れる
*個人の力 … 自分で考え、自分で決める
*自分で考えたアジェンダを持つ …「正しい努力」と「無駄な努力」を見極める
*戦略的思考 …「勝ち筋を見出す力」で、ビジネス環境を的確に把握し、その状況に合った最適な解を導き出す力
*誘導コミュニケーション能力 … ビジネスの相手は「人間」であり、相手を納得させるような誘導する力
VUCA時代に必要なアジリティ
「アジリティ」(Agility)とは、もともと機敏さ、素早さ、敏しょう性といった意味です。
ビジネス用語としては、目まぐるしい環境変化に即応するために欠かせない、経営や組織運営のあり方における機敏性を表します。
ビジネスはスピードが命!
スピードだけでは不確実な時代を勝ち抜けないため、求められるのは「的確な判断×行動の素早さ」です。
今、最も打つべき手は何かを瞬時に判断し、行動につなげる能力
アジリティ「的確な判断×行動の素早さ」がVUCA時代に必要
アジリティの高い人材とは
- 視野を広げる
仕事をした気になって準備にばかり時間をかける浪費時間をなくし、外に出て「少し違った視点」を持つことが助けになる。
小さなフィールドの中で仕事を続けていると、自分の思考が固まってしまうため、自分の価値観に大きな変化をもたらすことが必要 - アイデアを多く考える
思考法の多くは組み合わせで、「直感」と「論理」のバランスが必要。アイデアは頭を打ってひらめくものではなく、観察したことや知識の積み重ねから生まれるもの。周囲を巻き込んでいく活動では、周囲を説得する「論理」が不可欠で、「直感」を重視して狙いを定めた上で「論理」でアイデアを補強する思考プロセスが必要です。 - アイデアをすぐに試す
とにかく、スピード!はじめは「小さく・素早く・試す」 ⇒PDCA&OODAなどを取り入れている
アジリティの高い組織とは
- 組織のビジョンが明確
将来へのビジョンが明確な組織はアジリティが高く、組織のビジョンを定義し、必要な道筋をしっかり立てているため、不確実な時代だからこそ変化は必ず起こる前提で考えられています。 - 組織の現状を把握する能力が高い
自社や組織がどのような状況下でどのような立ち位置にあるかを客観的に捉えられているので、組織の内外で起こる出来事に対応できます。
VUCA時代で的確に立ち回るためには、状況判断が必須となるのです。
アジリティの高い企業の多くは、トップから末端に至るまで情報共有が徹底され、指示を出さずとも各々が判断し対応できる体制が整っています。 - 柔軟な発想力と応用力がある
アジリティの高い組織は、発想力と応用力の柔軟性があるため、発想力を伸ばし、臨機応変に対応できる柔軟性のある人材が多く、一つの物事に集中せず常に周りを見渡せる広い視野を持っています。
VUCAの時代に求められるアジリティの高い人材
- デジタルを使いこなせる力
ITを活用しながら社内外とつながり、課題に向き合い、解決することのできる人 - 景色を変えられる力
組織の枠組みやルールも疑い、乗り越えることで新たな価値を生み出すことができる人 - 他者を受け入れる力
自分とは異なる特性を持つ人の考え方・特性・異なる能力を認め、その人たちの勝ちパターンを学んで受け入れる力がある - 自ら問いを立て、答えを探す力
自ら問いを立て、議論を通じて自分たちなりの最適解を模索する力がある人。 - 自社を深く理解できる力
知識や技術などの掛け合わせによって課題を解決したり、新たな価値を生み出す力がある人 - 自己開示する力
自ら変化に向き合って、必要なスキルや知識を使い、モチベーション高く解決していきたいという意思を示し、それらを自己開示する力がある人
VUCA時代に必要なレジリエンス
レジリエンスとは「回復力」「復元力」「弾力」という意味を持ちます。
心の回復力やストレスなどの刺激に対する“柔軟性”を表しています。
- 困難に対してうまく対応できる適応力
- 逆境やストレスにさらされても諦めずに状況を受け入れ、ときに跳ね返したりスルーしたりする緩衝力
- 逆境から目標達成のために再起する回復力
個人レベルでも、業務上の問題や業績低下、会社の経営悪化、働く環境の変化や人間関係のトラブルなど、“逆境”は誰にでも訪れる可能性があります。そのようなときにレジリエンスが高い人は、厳しい状況や逆境を乗り越えられる強さとしなやかさがあります。
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厳しい状況や逆境を乗り越えられる強さとしなやかさが求められる。
ピンチを“チャンス”と捉えて前向きに乗り切ろうとする人が求められる。
アジャイル経営
弊社は、状況に合わせて臨機応変な対応を目指し、未来予測が困難なVUCA状況下で望ましい、もっとも基本的な「アジャイル経営」のコンサルを行います。
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